漱石造語伝説

http://d.hatena.ne.jp/kuzan/20070106/1168086774
の関連話題。

山崎楽堂「月並概論」(『続俳句講座3特殊研究篇』昭和9年*1)に。

特殊な俳壇語が世間へ流布して、やがて平常の社會語となつたのには、最初にそれを世間へ送り出した人が無くてはならない。その人は漱石、その語を弘めた作は『猫』である。が、漱石自身は決して月並の特殊語義を誤用してはゐない、誤用してゐないばかりか、作中にその本意を説明までしてゐるのである。
 けれども、受取る世間の方で誤解したことには、『猫』を『ホト丶ギス』へ載せた虚子翁すら、「此の月並といふ貶しめた意味を含んだ言葉を、單に陳腐とか常套とかいふ、月並其者の語源に近い意味に解釋したのは漱石の書いた「猫」が一番始めで、云々」(大正六年九月號ホト丶ギス所載)と述べた如く、それは漱石に取つて正に冤であるが、「其邊から、世間の人々は、珍らしくない、亦例のか、といつたやうな普通のものを、總べて月並といふやうになつてゐる」(同前)のは認められる。


虚子までも伝説流布者。


「猫」の用例は、
http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/789_14547.html
で、どうぞ*2

*1:http://docune.jp/doc/3338

*2:引用してたけれど、跳んでしまったので手抜き。