売文

黒岩比佐子『パンとペン』を読む。isbn:4062164477
国語学者にとっては、言文一致の堺利彦*1であり、その辺りを知りたいと思って読み始めたのであるが、それに留らず、大変面白く読む。


今井源衛「学海の「売文」」(『学海日録』月報5 第11巻 1991年7月)を出してみると、依田学海が、寄稿の依頼にあったときなどのために用意していたと思われる「学海書屋売文私則」は、『日録』の明治三二年一〇月二五日に見えるとのことだが、「售文の私約を告ぐ」「売文規約を出して示しき」などと、明治二二年頃から見えるという。


「学海書屋売文私則」は手書きのものであり、その都度、依頼に来た人に見せていたものと思われるが、もし、印刷して配ったりしていたら、「へちまの花」に投書して、その存在を知らせる人が居たかも知れない、などと思った。
あるいは内村鑑三のように、どこかにそれを書くとかしていたら、と。


江戸時代の「売文」は、今回はおく。


堺利彦、現時点では、はてなキーワードになっていない? 堺枯川はなってるのに。

訃報

17日、黒岩さんの訃報が届いた。闘病を応援しようという思いで、久しぶりにはてなダイアリーを書いたのだが。
残念です。ご冥福を祈ります。

*1:山本正秀編『近代文体形成史料集成 成立編』に、「言文一致の手紙」「言文一致事業と小説家」「今少しく文に近づけよ」が、『明治以降国語問題諸案集成』 下に、『言文一致普通文』の抄出(pp.35-52)が載る。