団体名義の著作権

近代デジタルライブラリー著作権処理は随分細かいなぁと思っていた。
誰だかわからないような変名と思われる名で序文を書いている人についても、文化庁の裁定を受けている。
序文を削除して本文だけ公開、というようなことはしない方針のようだ。
一冊が、序文著者をも含めた人たちによる共同著作物、という考え方のように見える。

一冊全体が共同著作物である、という考え方は、公開を妨げる方向に向かうのだと思っていたが、必ずしもそうではないらしい。
先日びっくりしたのが、早稲田の『文藝百科全書』が近代デジタルライブラリーで公開されていたこと
著者は、早稲田大学文学社となっていて、「保護期間満了」とある。団体だから刊行後50年で消滅としたのであろう。
しかし、この『文芸百科全書』は、項目ごとに筆者名が書いてあり、著作権の切れていない人もいる。武島羽衣とか中村星湖とか。
奥書に「著作者 早稲田文学社」とあるけれど、この筆者たちは、「著作権早稲田文学社に帰す」と契約したのだろうか。

この『文芸百科全書』の言語学のところを保科孝一が書いていて、保科孝一著作権も切れたことだし、と思ったら、既に近デジで公開されていた、という次第。

そういえば、『文芸百科全書』の項目の署名に「(く、ま)」というのがあり、これは誰かと思い、楠山正雄であることが分かったのだが、この『文芸百科全書』の中に「楠山正雄」の名は登場するのか、それとも、常に「く、ま」なのかは分からない。
そういえば、

の著者一覧の中に「こ、ま」という人が居るのだが、これは誰なのだろう。
1895年11号にロシア語から翻訳した「日用秘事」というのを載せているのだが。