フルヘッヘンド

5日に書いた玄白の件だが、青空文庫で読むと、菊池寛蘭学事始」では、「うづたかし」ではなく「たかし」になっている。

近代デジタルライブラリー所収で明治23年刊の全国医学会本の『蘭学事始』福沢諭吉刊本に基づく)によれば、

或る日鼻の所にて「フルヘッヘンド」せしものなりとあるに至りしに此語わからず これは如何なる事にてあるべきと考合しにいかにもせんやうなし 其頃は「ウォールデンブック」【釋辭書】といふものなし。ようやく長崎より良澤求め歸りし簡略なる一小册ありしを見合たるに「フルヘッヘンド」の釋註に木の枝を斷ちたる迹其迹「フルヘッヘンド」をなし又庭を掃除すれば其塵土聚り「フルヘッヘンド」すといふ樣によみ出せり これは如何なる意義なるべしと又例の如くこじつけ考ひ合ふに辨へ兼たり 時に翁思ふに木の枝を斷りたる跡愈れば堆くなり又掃除して塵土あつまればこれもうづたかくなるなり 鼻は面中にありて堆起せるものなれば「フルヘッヘンド」は堆〈ウヅタカシ〉といふことなるべし 然れば此語は堆と譯しては如何といひければ各之を聞て甚だ尤なり 堆と譯さば正當すべしと決定せり 其時のうれしさは何にたとへんかたもなく連城の玉をも得し心地せり
該当部分


そういえば、『重訂解体新書』は、翻刻も影印もない状態が続いていて、せめて医者のお飾り本でもいいから複製版が出ないかな(そうしたら相互貸借で借りられそう)、と思っていたのですが*1、近年、早稲田の古典籍総合データベースで見ることができるようになりました。ありがたいことです。

http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/bunko08/bunko08_a0028/index.html
http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/ya03/ya03_01061/index.html
表紙の写真だけか? と思われるかもしれませんが、その表紙の写真をクリックすると、全頁の写真のありかに繋がります。ちょっと重たいですけれど。

*1:『解体新書』は何度もその手の複製がなされているようです。『臓志』とかも。