永六輔坂本九ものがたり 六・八・九の九』中公文庫ISBN:4122017017

エノケンの自叙伝がドラマ化され、そのエノケン役を九が演じたことで、二人の仲は急速に近づいて行く。
という所(p240)を読んだときに思い出した。NHK銀河テレビ小説のようなもので、坂本九が動物園の猿の前で、一生懸命猿の真似を練習しているシーンをである。不本意にも猿の役を与えられた坂本九は腐りながらも動物園に猿を観察に行く。ピーナツを手にした猿がそれをどのようにして食べるのかをじっと観察して真似をする坂本九。うまい。そしてそれを舞台でやるのだ。猿の真似のうまさは認められるが……、という話ではなかったか。
おそらく三十年以上前のテレビである。なんだか白黒での記憶で、そうすると三十五年近く前なのだろうか。
これが、そのエノケンの役をしたドラマなのではないか、と思い当たったのだ。

ググってみると、これは「わが歌声の高ければ」というドラマのようだ*1。1969年放映。わたしはまだ8つだよ。我ながらよく覚えているものだ。こういうことは珍しい。

ほかに、

「九」とかいてひさしと読ませた。
「九」をひさしと読むのは、ひらがなの「く」も、片仮名の「ク」も「久」つまり、ひさしからきているからである。
「く」は「久」の草書。
「ク」は「久」の一部分。
丸木組の坂本寛はこの命名を自慢にしていた。(p55)
「九」で「ひさし」という名乗は、たとえば角川『大字源』ISBN:4040128001。いつごろからあるものだろう。明治ごろまでの名乗り字を集めた、『漢字百科大事典』ISBN:4625400643*2の名乗り字には載っていないようだ。

*1:http://www.tvdrama-db.com/ というサイトがあった。

*2:もとは『漢字講座』第六巻ISBN:462552086X