移動して

今日も移動しての会議。幸いなことに、終了後の移動時間に余裕があり、いつものブクマではなく、ブコフに寄ることにする。

角川の『日本近代文学大系』が、105円で五冊ころがっている。近代文学に注釈を付けるなんて読者を馬鹿にするな、と怒られたのは、これだったかな。とにかく、注釈が詳しいものだ。ちらちらと中身を見ると、「なんじゃこれは」というような注*1もあって全部買うか迷ったが、補注などを見ているうちに、やはり全部買うことにした。

今まで持っていたのは、索引の巻と『明治開化期文学集』だけだったと思う。図書館に行けば直ぐに見られる本だし、場所を取るけれど、105円だとやはり買ってしまう*2

不要な注、ということで一番印象に残っているのが、筑摩書房森鴎外全集の「カズイスチカ」*に付けられた注だ。「生理的腫瘍」に注を付けて「後にあるように……」と説明している。それはないだろうと思った。ここに注は不要だと思うし、もし付けるにしても、せめて「後に明かされる」ぐらいにしておくべきだろう。注を見ながら本文を読む人に対する「ネタバレ」になってしまう。

山下清裸の大将放浪記ノーベル書房版の第三巻と第四巻がやはり105円である。どちらかを持っていそうな気がするが、目次を見ても口絵を見てもピンと来ないので、「持っているのは第一巻か第二巻だろう」と納得して両方買う。ところが、持っているのは第三巻だった*3

金田一春彦角川oneテーマ21、『ホンモノの日本語を話していますか? 』ISBN:4047040266『日本語を反省してみませんか 』ISBN:4047040665、並べて置いてあった。どちらか一冊を持っている。『ホンモノの日本語を話していますか? 』が、目次が横書きなのだが、そうしたものを見た記憶がなかったので、持ってないのはこちら、と目を付けて買う。実は、こちらが持っている方だった。

清水幾太郎『私の文章作法』中公文庫ISBN:4122024110 \105。

そもそも、思った通りに書くというのは、どういうことなのか。それは、勝手にしろ、ということを少し言いかえたものです。(中略)ピアノを弾きたいという少女に向って、思った通りに弾きなさい、と教える音楽家がいるでしょうか。(p14)

*1:戯曲の「……」の部分を「〜〜が略されている」などと注記してある。

*2:今後、筑摩書房の『明治文学全集』なども105円で出会うことがありそうに思える。15年ほど前に1000円のを安い安いと買いあさったのだが……。何を持っていないのかを直ぐに確認できるようにしておかねばなるまい。

*3:これを買ったのは古本市場で95円均一の頃。もう1冊か2冊かあったのだが、家族と一緒だったので、あまりに袋が大きくなることを避けたのだった。