説明か改訂か、法廷用語

日弁連が、裁判用語の難しさを解決しようとする試みを打ち出したというニュースは、裁判用語の言い換え案と報じられた(私が見たのは産経新聞)。しかし、中身を見ると、どうも言い換えとは思えず首を傾げたことであった。置き換えにしては長すぎる。これは、言い換えではなく説明ではないのか、とぼんやり思っていたが、今朝の産経新聞社説で、「【主張】言い換え・書き換え 安易な国語いじりは疑問」と書いてある*1のを見て、ちょっと検索してみると、「説明案」と報じている新聞もあるようだ。

日弁連は、web上にちゃんと載せていた*。web上に情報があっても、マスコミに発表したのと同程度の物しかない場合もあって、悲しくなるが、これはちゃんとしている、というか沢山の情報がある。pdfになっている報告書がすごく面白い。
「市民の語彙と既知感を知る手がかりとして」「法廷用語に関する面接調査」を行っているのだが、これの記録が面白いのだ。面接調査を文字化した談話資料が含まれている。パラパラめくっていて、思わず笑ってしまったのが、次の回答。

あー正当防衛,あれですよねあの,よくあの,あれですよあの,しょうがなく人を殺してしまったとかなんか,こう,よくあるじゃないすかあの,例えばこう,殴られそうになったのを,なんつったら良いか,まとりあえず,せい…正当にこう認められる,その,なんつったら良いか,その,うまく言えないんですけど,とりあえず,その,しょうがなく,よくあの,テレビとかでよくある,そのなんかしょうがなく人を殺してしまってとかいうなんか2時間…お昼の2時間ドラマみたいな,そんな,そんな程度で,はい,認識なんですけど。ははは。
笑ってしまうと悪いかな、と思いながら、さらにめくって行くと、調査マニュアルのようなものに「対象者を怒らせた場合」というのがあることに気付く。
これ、調査の時には怒らなかった人が、これを見て腹が立つ、ということもあるのではないかな。マニュアルも含めて全部公開すると、そういうこともあるわけだが、ともかく沢山の情報を見せてくれてありがたいと思った。

で、最初の疑問、改訂か解説か、という問題は、当初、言い換えを目的にしていたが、議論の中で、解説に移行していったように見える。ざっとみただけの感想だが。

*1:今のところ、ここで読める。