立ち読み・漢和辞典と漢字索引について

あまり品揃えのよくない書店で

日本の漢字・学校の漢字 (下村昇の漢字ワールド)

日本の漢字・学校の漢字 (下村昇の漢字ワールド)

を眺める*1。「こんな辞書があればいいのに! 索引の問題点」という部分の記述で、具体的な漢和辞典を示さず、既存の漢和辞典は全部駄目、というような書き方をしていることに物足りないものを感じる。
長澤規矩也の『明解漢和辞典』(ISBN:4385134294)における部首の改編や、林大*2小学館漢和辞典ISBN:4095010916 ISBN:4095010819 ISBN:4095010827)における、同じ部首でもその位置によって分けるやり方*3もあるのだが、それらについて触れていないようなのだ。

たしかに、漢和辞典の索引が不十分なものが多いと言うことは認めるし、部首で探せ、というのがあまり推賞できないということはある。


漢和辞典の引き方として、

  • 訓読みを知っていたら、それで引くのが一番はやい。
  • 音読みを知っていたら、それでも結構はやく引けることがある。文字が多ければその段階で総画数を数えよう。

というようなことを指導するだけで、随分といいのではないかと思う。前にも書いたと思うが、部首で探さないのが邪道であるかのごとき指導はやめてもらいたい。索引で引いた後に必ず部首を確認せよ、という指導なら歓迎であるが。


説文解字』と同じ順序に並べて、索引を徹底的に作る、という方式の辞書があってよいと思っている*4。部首をその画数順に並べて、その中を残りの画数順に並べる、という方式*5にこだわる必要はあるまい。


角川小辞典シリーズの武部良明『漢字の読み方』ISBN:4040603001で並べるのも面白いけれど、使いにくくもある(そういえば、JIS漢字の第一水準が代表音訓で並んでいるのも使いにくい*6)。
この本、結構便利に思った。熟字訓などの読みが、漢字列からきっちりと引けるのは、これ以前にはあまりなかったように思った。(熟字訓だけ引けるのはあったろうが、漢語か熟字訓として読むべき文字列かの判断をせねばならぬ。であるから、漢和辞典の中で熟字訓も引けるのが望ましいのだ。その後、田嶋一夫編『最新JIS漢字辞典』ISBN:4061232649。『大字源』ISBN:4040128001た。)
また、部首でない、諧声符で纏めようとしたのも面白い。漢和辞典にも声符で纏めた索引が欲しいところだ。JIS漢字では、高崎一郎さんのオンライン説文を使えば纏められるけれど、ユニコードにはあるのかな?
池田証寿さんのところに、あったような気もします。
http://homepage3.nifty.com/shikeda/index.html

*1:著者のブログを発見。 http://shimo.exblog.jp/

*2:キーワード登録したいが、誤爆が多そうで遠慮してしまう。

*3:村機械と架果などを分ける

*4:説文に無い字をどこに置くかという問題はあるが。

*5:明代の『字彙』以来と言われ、『康熙字典』も引き継いでいるもの。

*6:ファイル名で並んでいるのを探すときに「江」が「え」のところか「こう」のところか、しょっちゅう忘れる。