ヤコブソンの首の振り方の非必然性

引っ張り出してみました。
題名には、

мимикаは一般には,主として顔の表情(および頭のしぐさ)に関連して用いられるもので,《表情》とでも訳しうるが,ここでは本論文で扱っている題材に沿って,《首の振り方》あるいは《首振り》をあてておいた。

というの訳注(米重文樹氏)がありました。原題は"Да и нет в мимике"とのこと。

 身振り及び首の振り方による記号の或るものはその分布範囲が言語固有の等語線よりもしばしば広汎な地域にわたっていることから,何らかの有意味的身振り,および頭や顔筋の動きは普遍的であるという素朴な見方が生じるのも無理からぬことである。

というところから始めて、

最後は、

凡そ100年前にDarwinの探究心に富む論文『人間と動物における感情表現』(1872)において既に提起された極めて興味深い諸問題,即ちこれら運動記号における自然性と約束性の相関,それらの構造の2項的「反立的原理」および更に,例えば肯定と否定の首振りにおける種族的ちがいと普遍的不変体の問題──は綿密かつ体系的な考察を是非とも必要とする。

と終わります。ダーウィンのは、

人及び動物の表情について (岩波文庫)

人及び動物の表情について (岩波文庫)

http://www.gutenberg.org/etext/1227


で、ヤコブソンが言及しているのは、ブルガリア人の首振りの他に、古代ギリシア人、「インディアン」、アイヌ、などなどの別の動作(肯定否定に関する)で、インド人等については、触れていないようです。