幕末の疑似科学

おのれいと若かりしころ長崎にゆき、外国人のものいふをききしに、唐人の音声は皇国人の音声より弱く、蘭人の音声は唐人の音声より又弱くおぼえき。肥後人・松原惟一は内景にくはしき人なり。皇国人の脾を藺図の脾にくらべみれば、大きく長しといへり。脾は津液の府なれば、音声の強きはこれによることなるべし。

大国隆正「ことばのまさみち」
『大国隆正全集』第四卷p363