「同音」とは何ぞや。
- 作者: 岡田英弘
- 出版社/メーカー: 朝日新聞
- 発売日: 1994/01
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 2回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
「帝」は「嫡」・「敵」と同音で、
p.53
「朝」も「市」も古くは同音で、また交易・貿易の「易」とも同音であった。
p.248
古代中国の文献は、山西高地の狩猟民を「狄」・「霍」と読んでいるが、これは「易」・「市」・「朝」と同音で、交易に来る人を意味する。それに対して華北平野の農耕民は「夷」と呼ばれるが、これは「低」・「底」と同音で、低地人の意味である。
同
『論語』によると、孔子はふだんの会話には方言を使い、学問についての高度な話には「雅言」を使ったという。「雅」はブローカーを意味する「牙」、商人・商売を意味する「賈」、それに「価」と同音だから、「雅言」は正にマーケット・ランゲージのことで、古代中国の公用語・共通語の本質が何であったかを窺わせる表現である。
ついでに言えば、殷王朝の前に存在したという伝説の「夏」王朝の「夏」も、「賈」・「価」・「牙」・「雅」と同音であり、p.241
「封」は「方」・「邦」と同音同義であり、
p.242
中国語では「国」は「郭」と同音で、
p.292
おそらく、上古音を意識しているのであろうが、押韻したり声符で通じたりするだけでは、同音とはいえないように思うのだが。