「……の時代」「……の誕生」

百目鬼恭三郎『奇談の時代』朝日文庫(昭和56.4.20)を眺める。
先週木曜日に伺った御発表で、「奇談」という語の使われ始めた時期が問題になったこともあり、この「奇談の時代」というタイトルの書で、何時をさして「奇談の時代」と言っていたのだっけ、と思い、取りだしたような次第。

しかし、どうにも分からない。現代は奇談の時代ではない、と言っているのかな。

怪奇ブームは、いずれも、ひとつの時代がゆきづまって、新しい時代に移り変わろうとする時に起こっているのであります。
という記述が題名のココロでしょうか。

ちなみに、この本は、ここに記録しているように、単行本と文庫本を相次いで買っている。単行本の方は、後に、近世説話を研究している人に貰ってもらった(押しつけた)記憶がある。

「……の時代」以上に、いまよく見かける題名となっている気がするのが「……の誕生」。〈そんなものは昔からあるだろう〉と一般的に思われそうなものに「……の誕生」と付けて注意を喚起するような題名は新鮮であったが、今はちょっと目につきすぎる感じさえしていて、題名自体では驚かなくなっている。

「タン塩の誕生」というつまらぬ題名を思い付いた。「単調の誕生」「男女の誕生」*1……
「地雷の時代」「辞退の時代」「私大の時代」「肢体の時代」

*1:産み分け技術の本と紛らわしそうだ。