本の置き場
あふれる本の話を読んで。
高校の頃、本の置き場に困ったのは私も同じこと。ただし、本が多すぎたからではない。親の目の行き届かぬところに本を置きたかったら。
勉強せい勉強せいと言われ続けた。まあ、言われなかったら、さぼり続けたかも知れず、それはよかったのだろうが、本を読むのも一苦労だった。世界の名作とかだったら許されたのかも知れないが、高校時代に読んでいたのは、主にSFだったから。
両親は、SFを嫌っていた。今で言えば、アニメオタクを見るかのような目で私を見ていたのだ。
そう扱われても面白いものは面白い。読むためには自力で入手せねばならない。
その手の本は、図書館にはなかったので、買うしかなかった。
本代は、昼食費をけちって捻出。幸い、弁当ではなく、学校食堂で食べることにしていたので、カレー定食240円分をもらっていた。それを、40円のラスク*1にして、200円浮かす。それは、まあ可愛いが、バスで通うのが普通のところを、三〇分ぐらい歩いて、国鉄で通ったりもした*2。定期代がもの凄く違うのだ*3。これはばれてしまい、しこたま怒られた。
僅かな金でも、本は増えて行く。押入の天袋から屋根裏に上げたりもしていたが、いい場所が見つかった。作りつけの箪笥の下と奥の部分である。幅半間・奥行き半間の押入スペースに、襖の代わりに枠があり、そこに引き出しがはまっているのだが、引き出しは長さは半間もない。奥の方が空いているわけである。抽斗を抜いて、奥の方に本を入れる。最下段の抽斗の下には、隙間があって、ここには丁度文庫を、背表紙が見えるように並べることが出来た。
ところが、衣替えの時期にあっさり見つかってしまう。資金源を怪しまれたが、定期代の差額による裏金作りがばれていたので、昼食代の差額による裏金作りにまでは白状せずにすんだ。
そして、幸いなことに、売り飛ばされたり、捨てられたりすることなく、高校時代を終え、大学になると、本読むな、とは言われなくなった。めでたしめでたし。でも、置き場が無くなって、雑誌類を捨ててしまったのは惜しいなぁ。『ビックリハウス』とか、『面白半分』とか。