ケチは精神衛生上悪い

大学生協で、「文庫・新書バンドルフェア」の貼り紙を見ました。15%OFFと大きく書かれて、「現金・プリペイドカード・図書券・図書カードのみ」「クレジットカード・サークル・公費は×」とありました。

私は日頃は、図書カードを生協書籍部では使いません。割引率が悪くなることを知っているからです。しかし、この貼り紙を見て、このフェアでは、図書カードでも15%OFFにしてくれるとは有り難い、と思いました。サークルなどでは通常の割引率になるのだが、図書カードについては、このフェアでは、現金並の割引率になるのだ、と。

「3冊買えば」というので、それを選ぶべく、時間をかけて選びました。是非欲しい一冊に加えて、もう2冊を何にするか悩みました。結構時間をかけたのですが、選びきれずに5冊になり、しかし、これならおおかた図書カードの残額程度であろうとレジへ持って行きました。

しかし、そこで、図書カードでは割引が3%少なくなると告げられたのです。私は動揺しました。「図書カードも使える、と書いてあるではないですか。どうして図書カードでは12%OFFと書いてくれないのですか」というと、済まなそうにはしていましたが、「普段でも図書カードでは3%割引が少なくなりますから」とおっしゃいます。こちらは、フェアの貼り紙で、現金と図書カードが併記してあったから、図書カードでも15%OFFだと思ったのです。そう思って自分の図書カードの残額と店頭文庫の在庫を見比べながら選んだのです。

今更、「では買いません」とはなりません。図書カードで12%OFFで買うか、現金で15%OFFで買うかを即断せねばならず、あわてて、現金で買ってしまいましたが、やはり図書カードで買えばよかったと後悔しました。後に人が並んでいなければ、もっとゆっくり悩めただろうし、ポスターの惹句がおかしいことをきちんと説明できただろうに、悔しいことです。


そういえば、昔もそんなことがありました。

院生時代、朝刊にはいっていた広告。大型スーパーの安売り。20%引きとある。商品によっては15%引き、10%引き、また割引除外品もある。その15%、10%、割引除外品の所を見ても、「書籍」とは見えない。そのスーパーには書店があった。
書店が入っているのではなく、そのスーパーが直接営業している。書店業ではないことで割引が可能になっているのだろうか。

ちらしを何度見ても、書籍も20%オフになるとしか解釈できなかったので、私は予定を変更してそのスーパーに出かけた。

「割引除外品に書籍を書き忘れており、まことに申し訳ありません」という文字がどこかに書いてあるのではないかと、店内を見渡すが、そのようなものはない。書店部のレジの所にもない。では、じっくりと本を探そう。一時間ほどかけ、買うべき本を選びレジへ向かった。講談社学術文庫などで、たしか、計2000円程度だった。


レジで、店員と客がなにやら問答している。「本は割り引きできないんです」


私は、今ほどの厚かましさを当時は持っていなかった。手にしていた本を、もとの場所に戻し、黙って、しかし怒りにふるえながら店を後にした。二度と来るものか。

なお、そのスーパーチェーンはのちに潰れた。