みだれ撃ち

必要あって、筒井康隆『みだれ撃ち涜書ノート』集英社文庫ISBN:4087505227

これは、『奇想天外』に連載されているときに読んだのだが、同誌に連載されたものの他に、「作家が書評する時」という「50冊の本」78年9月号に載った文章も採録されている。

これに、SF雑誌へのこのような書評掲載を、「SFファンの青少年男女」への「ひとつの教育的効果」を考えてのことだと書いてある。ここには、「二年半続けて、望ましい反応があったかというと、これがまだ今のところ残念ながらない」と書いてあるが、少なくとも、私には教育的効果があったと思う。SF作家にはならなかったけれど。

また、「SFがさまざまな小説ジャンルに拡散してしまっている」のだが、「ただひとつだけない」のが「教養小説」という。「筒井康隆の書いた教養小説など人が聞いたら笑うのであり、むろん恥かしくて書く気にもならない」というが……。(この項、どこかへ続く)



『乱調文学大辞典』講談社文庫ISBN:4061313193める。上の「教育効果」云々は、これの「巻末付録 あなたも流行作家になれる」で、マンガを読めと勧めた*1ことへの反省もあったのだろうか。なお、「流行作家」は1969年に書かれたものである。

そういえば、『奇想天外』には、豊田有恒『あなたもSF作家になれる わけではない』が連載されていたが、これの文庫本ISBN:4195781396

*1:「ぼくがマンガを読めというのは、おのれの敵を知れという意味である。」と注意しているが。