武谷三男編『狭山裁判と科学 法科学ノート』現代教養文庫 を買ったのは、大野晋が、この本の中でどれほど取り上げられているだろうか、と思い、また狭山事件のことをもう少し知りたかったから。
狭山事件の脅迫状のことは、大野晋が書いていること*1と、それを井上ひさしが評価*2している文脈でしか知らなかったから。

「第四章 筆跡」(p109-157) のうち、大野鑑定については「第三節 被告人は脅迫状を作成する能力をもたなかった」。
脅迫状が横書きであることについても問題になっているが、このことは『日本語の世界』所収のものには載っていないようだ。『世界』昭和47.11「脅迫状と上申書との文字能力の差違〔狭山裁判〕」p278〜283には載っているのだろうか。

「第六章 筆圧痕」というのもあり、角筆を思い出した。

*1:大野晋狭山事件の脅迫状は誰が書いたか」『日本語と世界』講談社学術文庫 893 1989年。ISBN:406158893130。もと『朝日ジャーナル』1976.2.6「<特集>狭山裁判の暗部を衝く」p4〜13。

*2:『私家版 日本語文法』新潮文庫ISBN:4101168148