食道楽など

柴田書店名著復刻図書館*1というところで、『食道楽』などが電子化されているのを忘れていた。PDFだけれど、テキストの抽出も可能。ただ、ルビがないのが残念。「進げて」は、何と読ませるつもりだろう。

誤植もありそう。「荒ごなし」が「荒でなし」になっているところがある。

手伝つて下さい」客「ハイ/\お手傅を致しませう
は、「傅」ではなく「傳」のはずだ*2

などと、電子本の存在を思い出したことにより、一層、紙の本が欲しくなるのであった。

この柴田書店のページに限らないのだが、漢字の「子」に由来する片仮名の「ne」の字を、漢字の「子」で電子化することには副作用が多く、「ネ」を使う方が害が少ないと思う。
「ネ」が全く使われずに〈漢字の「子」に由来する片仮名の「ne」〉だけが使われているのなら、「ネ」で入力し、「現行の字体に改めた」とでも注記しておけば済むことだし、もし、「ネ」と〈漢字の「子」に由来する片仮名の「ne」〉が混在していて、その使い分けを伝えたいのであれば、別の方法を考えるべきで、漢字の「子」と区別しないのは困る*3

*1:http://yumyumtown.com/lib/

*2:原本も誤植なのかもしれないが、新旧字が混在してるのはどうしてだろう。旧字を新字に改めたものであれば、「傳」は「伝」にしたけれど、もとから誤植だった「傅」がそのまま残った、とも考えられるが、全体的には旧字が中心である。なお、「伝」は、明治頃には活字にはなかったろうと思う。手書きはさておき。
 ついでに講釈を垂れると、「轉・傳・專」(転・伝・専)(テン・デン・セン)が仲間で、これらは右上に点がない(「惠ケイ」も、やや仲間)。
 一方、「博・薄・縛・傅・簿」(ハク・バク・フ・ボ)が仲間で、こちらは「甫」(ホ)が声符になっているので、右上に点が付く。ハ行は右上に点、と覚えればよいのだ。

*3:文中に、漢字の「子」が全く出て来ないものを電子化する場合には、まあ、害は少ないが。……でも読みにくい。