紙質

先日、天満宮で新井信之『竹取物語の研究 本文篇』を百円で買った*1。新井氏は、本書刊行後まもなく亡くなったようだ。学士会の会員氏名録でも、昭和18年から26年までの死亡者のリストに載っている。著作権が切れているわけで、公開することが可能である。年末には池田亀鑑の著作権が切れる。本文校異を記した活字本が公開可能になって行く。

新井氏の本は早速スキャンしてみるが、昭和19年という時代を反映して紙が悪い。悪いだけでなく、不揃いである。かなり茶色に変色しているページもあれば、白いままで残っているページもある。これらの紙は手触りも違う。ADFも違うと感じているようで、茶色い方は、スースー吸い込んで行くが、白い紙の方は、取り込む切っ掛けがつかみにくいようで、うなる音が何度もしたり、場合によっては、「紙詰まり」となってストップしてしまう。どうせこんなに詰まるのならと、茶色い紙と白い紙とでは、白黒の判定基準を替えて読み込むことにする(自動判定は普段からあまり使っていない。時間がかかる気がするし、場合によっては濃く読み過ぎて、ざらざらになってしまうことがあるから)。

こうした紙質などの情報は、画像ファイルにすると消えてしまうことになる。残念だが、許して貰いたい。

*1:ついでに言えば、玉上琢弥(山本利達石田穣二)『紫明抄・河海抄』も百円で買った。おそろしいことである。