「覚えたか」を覚えているか

以前書いた、「遺恨覚えたか」問題だが、真山青果『元禄忠臣蔵』では、梶川の「遺恨覚えたるか」を言っていて、浅野内匠頭の台詞にはなっていない。

傳八郎 無言にて――切付けましたか。
梶川  いや、此の間の遺恨おぼえたるか――たしかに申されたのを聞きました。
傳八郎 此の間の遺恨――。(書役の者に)大事の一言だ、書き落すな。

なお、柴田武『生きている方言』*1に、「おぼえた」の項があり、青森あたりで「思い出した」の意味であることを書いている。

*1:ASIN:B000JAE81I。文庫題『生きている日本語』講談社学術文庫ASIN:4061588354