目線

戸板康二の「目線・歌舞伎語説」は、徴証が見当たらないらしい。


そういえば、宇野信夫が「眼線」を批判している文章があったのを発見できた。これも歌舞伎語説を弱めるかもしれない。

はなし帖 (文春文庫 (237‐2))

はなし帖 (文春文庫 (237‐2))

これに入っていた。p62

テレビの演出家は、「視線」のことを「眼線(めせん)」という。「眼線をこっちへ向けて」などと言っている。眼線という言葉は、辞書にはない。テレビによって生まれた言葉だといわれればそれまでだ。

宇野信夫はテレビの演出家の発言しか知らないといっているのだが、実は、宇野信夫との対談が収録されている三遊亭円生『書きかけの自伝』ISBN:4010643110

これがちょうど、椅子にお座りになる陛下とあたくしの目線が合う高さなんですよ。

残念ながら、宇野信夫との対談には出てこず、松本幸四郎との対談に出てくる。

「ありがとうございます」っておじぎをして、パッと目線が合うと、向こうでおじぎをしてくれるんですよ。

ニアミスですね。