辞書にない言葉「あきいろ」

「あ」で始まる言葉は、日本国語大辞典が誰でも引ける。
http://try.nikkoku.japanknowledge.com/


「あきいろ」はないんです。
謡曲には使われますね。松田聖子の曲名(三浦徳子作詞)が有名ですが。


http://www.uta-net.com/user/index_search/search2.html?ss=3&rc=10&ct=9&pg=0&kw=%8FH%90F&md=Kashi


上の検索では引っ掛かりませんが、グレープに「かなしいうた」というのがあります。これの「あきいろ」は、臨時一語っぽい。「秋の日はあきいろで」という形で、「あめいろ」「かぜいろ」「はるいろ」などと供に出て来るので。



謡曲のみならず、和歌でも使われているらしいのです。
二十一代集*にはないけれど、国歌大観のCD-ROMで引いてみてください。
和歌で使われているこれは、おそらく漢語の「秋色(しゅうしょく)」を訓読したものでしょう。


「あきいろふかき」という形で詠まれるのですが、まさに漢詩の「秋色深」です。


清水浜臣が集めた「拠字造語抄」*には、「あきいろ」は入っては居ませんが。


辞書に載っていないのは、一語性の弱さ、というか臨時一語的なものから抜け出せていないとか、そういうことなのでしょう。上の二十一代集検索でも、「あきのいろ」ならばいくつもヒットします*1
また、和歌の例は「秋、いろふかき」と解されてしまうことにもよるのでしょう。





「なついろ」「ふゆいろ」の場合、「なつのいろ」「ふゆのいろ」も二十一代集では詠まれていないようですが、国歌大観で探すとあります。


謡曲では「夏色のナンシー」が有名ですね。

「くうざん」の「くう」は、「あき」なのです。

こちらへ

「臨時一語」でここへ来られた方は、
http://www.joao-roiz.jp/SJL/search/start/volume=131

*1:春も、「はるいろ」でヒットせず「はるのいろ」でヒットすること、同様です。