改行

黄昏の囁き (講談社文庫)

黄昏の囁き (講談社文庫)

解説(円堂都司昭)に、

 また「囁き」シリーズでは、主人公の心の内の言葉、過去の記憶が囁きかけてくる声が( )を多用して記される。( )は文章の途中に割込むだけでなく、

(囁き)
文章がまだ終わっていないのに強引に改行して分断する暴力をも振るう。語り手の地の文章を
(囁き)
追い出してその一行を乗っ取った( )は、
(囁き)
行の下に、真ん中に、上に、不安定に遊泳する。綾辻はホラー作品では、この種の字面の工夫をすることが多い。

とある。ところが、講談社文庫で見る限りは、円堂氏の示すような、

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

(囁き)
○○○○○○○○

ではなく、

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

(囁き)
 ○○○○○○○○

となっている。通常の〈段落を示す改行〉と見まがうような、一字下げを行っているのである。


円堂氏の示すような形の方が読みやすいように思うのだが、わざと破調を行っているのだろうから。