叙述トリックと言葉

叙述トリックが言葉の問題とあんまり関わらないようだ、と書いた「言葉」は、狭い意味でのことで、レトリックとか語用論とか、そういうのでは当然関わってくる。


それはさておき、これは言葉の問題だ、日本語の問題だ、と思ったのがあった。ネタバレになるので、題名は書かないが、鈴木孝夫のいう「最年少の子供の立場への同調」*1を利用したものがあった。つまり、「おじいちゃん」と発言していたのはその孫ではなかった、というようなことだ。その人物は「おかあさん」とも呼びかけるが、これも当然、その人の母親を呼んでいるのではない。

*1:「日本人の言語意識と行動様式」(『日本の言語学5』所収など)など。