パブリック・ドメイン 魚返善雄

国語学者魚返善雄です。

https://app.box.com/s/9lkjd1kdzmsxatu8myeiow9clealyl2v


『漢文入門』『漢文の世界』のほかに、


『外来語小辞典』
https://app.box.com/s/2u92d9w0gk5lja7r44p72teju8ysdvio

などもあります。


『大陸の言語と文学』
https://app.box.com/s/ad4a7nmq81o2z0lx2q56ycettx6cnv3h
は、林語堂の翻訳などもあるのですが*1、本人の著作分だけ抜き出しています。


手許の版が新しすぎるのも、いくつかありました。『言語と文体』など。
http://www62.atwiki.jp/kotozora/pages/71.html (まえがき)
http://www62.atwiki.jp/kotozora/pages/76.html (索引)

パブリック・ドメイン 小高敏郎

http://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/00057510


今回のパブリック・ドメイン化、国文学者としては、この方でしょう。



https://app.box.com/s/ozzr0jljmhhofp6h1kf8t7wfviaikk1v
『近世初期文壇の研究』
『松永貞徳の研究』正続

上記に加えて、旧日本古典文学大系の『近世思想家文集』の「都鄙問答」の部分、『戴恩記・折り焚く柴の記・蘭東事始』の「戴恩記」の部分を抜き出しました。『近世笑話集』については、手許の版が比較的新しいものだったために、うわづら文庫としての公開はしません。


ただ、校正不十分ですが、テキストは、少し置いております。
wikiですので、校正して頂くことも可能です)

日本古典文学大系100江戸笑話集』解説 http://www62.atwiki.jp/kotozora/pages/70.html
 同補注(途中まで) http://www62.atwiki.jp/kotozora/pages/73.html
「戴恩記解題」岩波日本古典文学大系95 http://www62.atwiki.jp/kotozora/pages/68.html
「都鄙問答解説」『日本古典文学大系97近世思想家文集』http://www62.atwiki.jp/kotozora/pages/72.html


ところで、岩波の旧大系の校注者で著作権が切れた方は、他にいらっしゃいましたっけ。『枕草子紫式部日記』の池田亀鑑は、共著で担当部分を抜き出しがたし、だったように思います。


国文学研究資料館の旧大系テキスト、校注者の著作権が切れたものは、オープン化できたりしないのでしょうかね。
http://base1.nijl.ac.jp/~nkbthdb/

パブリック・ドメイン 高浜二郎

高浜二郎という人がいます。
http://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/00077499
兵庫県近代文学事典』では、高浜二郎の項と高浜天我の項目がありますが同一人物で、天我の項目の方で、1966年12月10日が命日と言うことが分かります。


橋本政次『近代播磨文学史』にも名前が見えますが、中野三敏先生の『本道楽』*1に詳しくあります。一部を引用します。

白い無精髭を生やして、古武士然とした方だったが、沢田東江の伝を志している旨を述べて御教示を乞うと、無雑作に手元の、厚さ二、三寸もあるような綴じ物をめくられて、井上金峨のこと、井上蘭台のことなどあれこれとお教えいただいた。(中略)まさに掌を指すが如き様子であった。要するに手控えの帳面に、編年体で諸家の文事を整理してあるらしく、質問の大概はこの手控えで間に合うようにみえた。その時は御専門は蒲生君平伝とのみ伺っていたが、その後、自費出版しておられた多くの小冊子類を見るにつけ、その興味が江戸の学芸・文事の雅俗あらゆる面にわたり、恐ろしいほどの蓄積がなされていることがわかり始め、あの時なぜもっと多くの事をうかがっておかなかったかが、今更ながら悔やまれてならぬ。

高浜翁には、自費出版の趣味がおありだった。恐らく業界誌編纂の余禄で、用紙の入手が比較的簡単だったのでもあろう。「人類館」「偉人の面影」などといった君平追跡の余燼ともいうべき江戸期人物伝の雑誌や、自作の『湯島竹枝』(昭和二十九年十一月)、『姫路竹枝』(昭和四十八年十一月)等の歌集、また歌人『小沢芦菴年譜』(昭和三十一年五月)なども同じような略装の小冊子の姿で自費出版されていた。

そのうちのナニガシかを、うわづら文庫に入れました。
https://app.box.com/s/yu2vri37uxk0xexrmoc15xrn4ycrsdcy


国語学的には、
『メッキ語源考』 https://app.box.com/s/7jd65pqx6c4afol2a0b1h6jp1n6i2ey6
もですが、

魚住折蘆と同様に*2、姫路中学の前波仲尾先生*3の思い出を語っているのが気になります。

 前波仲尾先生
何某の式部のやうに うるはしき仮名がきしたる前波先生
むつかしき顔なる前波先生の英語の講義たのしみにけり

『続湯島竹枝』p.59

折蘆と同様に、姫路中学を中退しているのですが、共究会に入っていたのも同様です。
https://app.box.com/s/32xl0o8ldmpofd8fg0674y77pn6t8j8x
これは、長沢一夫*4・菊池金次郎*5との連名で、回覧雑誌の『共究会文章会』第40号に載せたものです。

ハッピー・パブリック・ドメイン・デイ

 今回の著作権切れ、国語学関係では、なんと言っても東條操です。
https://app.box.com/s/0k58zyt8j93d0zav1zwu5a6xjdeaau46



少しでもテキスト化したいですね。
『全国方言辞典』「序」
http://www62.atwiki.jp/kotozora/pages/57.html
編纂の趣旨
http://www62.atwiki.jp/kotozora/pages/59.html
凡例
http://www62.atwiki.jp/kotozora/pages/58.html

http://www62.atwiki.jp/kotozora/pages/60.html


『分類方言辞典』凡例
http://www62.atwiki.jp/kotozora/pages/56.html

江戸川乱歩「二銭銅貨」と点字とビブリア古書堂

 江戸川乱歩著作権保護期間が切れ、青空文庫でも「二銭銅貨」が公開された。
http://www.aozora.gr.jp/cards/001779/card56647.html
底本は、光文社文庫版の全集第一巻。
底本の底本は1931年の平凡社版全集とのことだが、点字については、そのままではあるまい*1
点字部分については、後の修正が有るからである*2


青空文庫点字部分は、画像になっていて、直接表示させると次の通り。


うわづら文庫では、
http://d.hatena.ne.jp/kuzan/20151210/1449496873
にも書いたように、『別冊宝石』56(9-5 1956.6)掲載の、村上松次郎画(1962年歿)の入ったものを載せた。
https://app.box.com/s/rpj7xp5hylutlpn7h9zkl05jk5vimcwr


こちらがオリジナルに準じていると思われる、訂正前の形である。


この訂正は拗音の扱いが修正されたものである。乱歩が、当初、拗音を表記するのに、

イ段音の仮名の点字 + 拗音符 + ヤの点字 = ●ャ
イ段音の仮名の点字 + 拗音符 + ユの点字 = ●ュ
イ段音の仮名の点字 + 拗音符 + ヨの点字 = ●ョ

としていたもの*3を、

拗音符 + ア段音の仮名の点字 = ●ャ
拗音符 + ウ段音の仮名の点字 = ●ュ
拗音符 + オ段音の仮名の点字 = ●ョ

と、あるべき形に訂正したものである。


しかし、

○○
○●
○○
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●○
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●●
●○
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○○
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○○
○○
○●
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●○
○○
●●
○○
濁音符
と、チとヨとの間、シとヨとの間に線が入っているのはおかしいし、誤解を招く。

(清)拗音符*4 + ト = チョ
(清)拗音符 + ソ = ショ

であって、

○○
○●
○○
○●
●○
○●
●●
●○
○●
○○
○●
●●
○●
○○
○○
○●
●●
●○
○○
●●
○○
濁音符拗音符長音符
チョ
という具合でなければならないのである。


二銭銅貨」は、新潮文庫の『日本文学 百年の名作1夢見る部屋』(2014.9)

にも収録されている。
こちらは、

イ段音の仮名の点字 + ヤ行音の仮名の点字

という、新たな異文となっている。改訂後の形を校正する際に、点字対応表を理解しないまま見て、さかしらな修正をしたのではなかろうか。(旧式から拗音符を抜いた形だが、改訂方式からの修正と考えた方がよいだろう。)


二銭銅貨」自身が、「按摩を呼んできて伝授にあずかった」と書いてあるぐらいだが、訂正する際には、点字の仕組みを分かった上でやってほいしものである。『百年の名作』だけではなく、この点字については誤りが目につく。大衆文学大系でも、「拗音符」とあるべきところを「濁音符」にしてる箇所があったりしました。


さて、wikipediaの「二銭銅貨」の項にも言及されるように、三上延「ビブリア古書堂の事件帖4」(isbn:4048914278)に、この拗音に関わる、乱歩の点訳の誤りが取り上げられている。
以下、ネタバレを含みます。

*1:光文社版全集には校異が付してあったと思うが、残念ながら手許には第一巻がない。

*2:wikipedia「二銭銅貨」の項にも言及がある。桃源社版(昭和36)からそうであるというが、それ以降のものが、みな訂正されたものというわけではない。

は、春陽文庫の『江戸川乱歩名作集7』(昭和37.3)の私が最初に読んだ昭和48.3の43刷。

*3:拗音符を、〈ヤユヨを拗音表記用に使う宣言〉ないし〈現代仮名遣いのようにヤユヨを小書にしたように発音する宣言〉と誤解したのであろう。

*4:「濁拗音符」もあるので、「(清)拗音符」と書いておく

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来たるべきパブリックドメインデイに向けて14(最終回)・団体名義

団体名義の著作物は、公表後五十年で著作権が切れますから、1965年に公表されたものが著作権切れとなります。
いろいろあるはずなのですが、取り敢えず、一つ。


出版年鑑編集部『辞典・事典総合目録』出版ニュース社 昭和40年12月5日 初版第1刷発行


1961年版もあるようなのですが、私の手許のものは、これが最古です。


さて、来年初頭に向けての、今回の「来たるべきパブリックドメインデイに向けて」は、今日で最終回です。次回が二十一年後でなく、来年でありますように。