手紙作法

千早正寛『活きて働く 商業書簡文』佐藤出版部 大正五(webcat)を開いてみたら結構面白い。「禮法上から見た注意事項」など。

切れ字とは人名だとか地名だとか又は熟語と云ったような離れ難いものを、何等遠慮もなく一の行尾と次の行頭との二つに分って記すことで、こは書簡として最も厭ふべき事実なのだ。
とか、
(イ)字体 第一に注意すべきは字体だが、如何に誤読を避ける必要があるからとて、一字一画をも忽にしない楷書などで認めてをったのでは、この忙しい商戦場裡にあって、到底勝利を占めることは出来ない。夫故に先ず行書体を其原則とし、夫に分かり易き草書体を交へる位の処で認めて行けばよいのだ。
(ロ)文字 略
(ハ)仮名 仮名は官公文書以外にあっては平仮名を用ゆべきだ。
(ニ)墨色 略
(ホ)墨つぎ 略
といったところ。
『殿』といふ字は、現今は非常に厳格な敬語として用ひられ、其結果公用文書抔はこの字に限られている。
というのは、現在の感覚とは違うのか。

書簡作法の本も、安ければ買っているが、これは、まあアタリの部類だろう。