蔵書焼失で発狂の話

本棚から辰野隆『忘れ得ぬ人々』(弘文堂,昭和14.10.25)が出てきたので、「黌門客2006-03-26[ことばへの誘い]雪たたき」のことを思い出しながら手に取った。
すると、巻末に、以前書いた、「蔵書を失ったら発狂」の話が書いてあった。「書狼書豚」と題するもの。

若し火事が起って、君の蔵書を悉く焼き尽くしたら、君は一体どうする、と僕は嘗て鈴木君に冗談半分に訊ねて見た。すると、鈴木君は、その時弁慶すこしも騒がず、泰然自若として答へた。
――必ず発狂して見せる。

これだこれだ。鈴木信太郎氏は、フランス詩歌の豪華版を多種所蔵していたとのこと。この記事には「昭和七年秋」とある。

なお、higonosukeさんが引用している「露伴翁の印象」には、「昭和十四年夏」とあり、文中に、「革新」社による露伴との対談は「今年四月の或夜」とある。