レファ本

明治書院の『日本語学研究事典』ASIN:4625603064。旧版の『国語学研究事典』ASIN:4625400015。特に後半の資料編が便利だった。噂に聞くところによれば、近代作家についてちょっとしたことを知りたい場合にもこれを引いたりする人もあったそうだ。

さて今回の『日本語研究事典』、どの程度バージョンアップされているであろうか、と、まず資料編から見てみた。まだ、旧版としっかり見較べたわけではないが、どうも、旧版のまま、という項目が結構ありそうである。「この項目はあの人に新たに書いてもらった方がよかったのではないか」と思われるものもある。旧版のをそのまま使ったものについては参考文献等を加えた、ということだが、やや寂しい追加である。

この手の本にとって、本文と同様に大事だと思うのが索引だが、旧版で残念に思ったことが新版でも変わっていなかった点を一つ。

  • 項目索引の「大為爾の歌」から、伴信友の項が引けないこと*1


国語学研究事典』を持っている身としては、高いお金を出して買うまでもなかったか、という気にすこしなった。凡例の、〈進展のなかった場合には旧版をそのまま〉というような記述をみて、そうか、進展していないのか、と思ったり……


しかし、新項目や、新規執筆については、いろいろと変わっていて、ありがたい。


別の出版社で、日本語学の事典が編集されているということのようであるが、これはどうなるであろうか。

*1:これは、本文「大為爾の歌」項の「「大為爾の歌」の研究は大矢透の研究から始まる」という記述よりもいっそう残念。ちなみに伴信友は1846没、大矢透は1928没。