新明解

新・読前読後6/18で、赤瀬川原平新解さんの謎』を取り上げ、

たしかこの本が『新明解』(以下「新解さん」とする)の面白さを最初に指摘したのではなかったか。
と書いておられるが、そうではないと思います。

赤瀬川原平が『新明解国語辞典』を取り上げたのは、1992年7月の『文藝春秋』「フシギなフシギな辞書の世界」であろうと思います。ずっと以前から、専門家の間では特異性が知られていた『新明解』ですが、それが、いわゆる読書人に広がったのは、1986年6月発行の『BOOKMAN』第15号「特集=「辞書」はすばらしい」ではないでしょうか。

インタビュー「どんな辞書をお使いですか」で、呉智英氏の見出しが、「『新明解』がおもしろい」。

語釈を読んでると笑っちゃうのがずい分あるんだよね。なんかね、そのことばを何としても読者にわからせようとするあまり、熱がこもり過ぎちゃったみたいな感じでさ。
として、「たらふく」「たらたら」、それから圧巻として「おやがめ」をあげる。

編集部の編んだと思われる「ジャンル別大ガイド 国語辞典」では、「読書人必携の堂々たる傑作」として筆頭に『新明解』をあげ、「本誌の推す小型国語辞典の最高品である」と、まるまる一ページを費やして説明する(BOOKMANはB5版で4段組)。「洒落」「清廉」「ビキニスタイル」「マンション」などを示し、「個性的で面白い」「とても楽しい」と評価する。

インタビューで、もう一人気になるのが、週刊文春編集部の佐藤敏雄氏。SM嬢が文藝春秋にいたということで気になるのである。佐藤敏雄氏は、『岩波第三版』を推薦するが、『新明解』の前身である『明解国語辞典』の一項を「感動的なほどわかりやすい説明」と評価している。

文藝春秋』という巨大なところで世に紹介したのは赤瀬川氏(ならびにSM嬢)の仕事だと思いますが、BOOKMAN編集部や、呉智英氏の功績もあるのではないかと思うものです。

もちろん、それ以前から、『新明解』を個性的すぎる、と批判していた人たちが居たことも忘れては行けませんし、専門家内で面白がる人が居たこともありますが。

なお、おまけに、一昨日も三省堂ぶっくれっとでリンクしたけれど、柴田武赤瀬川原平如月小春「三人で語る 新明解国語辞典」()という対談があります。柴田武氏は、『新明解』の編者の一人ですが、武藤康史『明解物語』ISBN:4385359199ーを受けています(監修者でもあります)。