学位の博士を「はかせ」と読むのは俗

学位としての「博士」は、正式には「はくし」であり、「はかせ」と読むのは俗、と言われるが、「正式に決めている」のは、なんだろう、どこだろう。

日本国における法律や規定の類が、文字面だけでなく〈よみかた〉を決めているとしたら、これは珍しい例ではないのか。「日本」のよみかたも規定していないのに。

渡部萬藏*1『現行法律語の史的考察』(萬理閣書房 昭5.12)には、読みについては書いていない。

手許の『昭和七年版 学位大系博士氏名録』*2に、明治20年の学位令や大正9年の学位令などが載っているが、読みについては見当たらない。

日本国語大辞典』には、

学位としては「はくし」と読むのが正しいが、俗には「はかせ」と読み「はかせ号」「はかせ課程」「医学はかせ」などが通称となっている。
とあるものの、根拠は書いておらず、
金城だより-明治二一年(1888)六月二一日「学位令にある博士と言ふ文字の発音方は、従来唱へ来りたる如くハカセと読む事と思ひの外、ハクシと発音する事になり居る由」
という用例を挙げるぐらいである。

*1:この人の没年も分からない。

*2:これの文学博士ぐらいは全部電子化しておきたい。公開するのは物故者のみにしないと、個人情報保護で問題になる。また、「相続人」も書かない方がよいだろう。この氏名録は、人名索引も何博士か分かっていないと引けないのが腹立たしいので、全文電子化したくもなるのだが、暇がない。金もない。