和本

和本の五百円コーナーは、satopyさんなどが見られた後だったのだ。五百円というのは微妙な値段で、端本としてはやや高い感がするものも多い。経典餘師は、ひらがな国字解として注目すべき本だと見直したところで、やはり端本で五百円は高い。カタカナの国字解類も多くは見送るが、唐詩選の国字解類を一冊だけ拾う*1。他に、三体詩抄を二冊。これは端本で一冊だけ持っているが、それよりも状態がよい。三体詩抄は、抄物類の中では比較的あとまで刊行印行されていたのだろう、古書で目にすることが出来る。

それから、もう一冊、写本で、よく分からない熟語集。余白が多いので、熟語を集めるための手控えのようでもあるが、元となる資料を写しただけで、書写者による増補はまだないのかもしれぬ。いずれにせよ、元となる本を確認したいところ。『群類字林』と題している。柱に「雲藩醫學館藏」と印刷された罫紙に書かれる。部首の画数順で、一部から止部まで。

買ったことを忘れていたのが、『消息文例 下』。見送ろうと思ったのだったが。実際に見送ったのは、義門の『玉緒繰分』、三冊ほどあったが、あまりに破損が甚だしかった。

『三体詩抄』覚え

この『三体詩抄』は、いわゆる「素隠抄」で、「増註唐詩五言律句三體家法巻三之四」*2には「紫陽素隠略取」となっているが、「唐賢七言律詩三體家法巻二之上」*3には、「紫陽素陽略取」となってしまっている。直前の「紫陽」に影響されたのだろうか。
国書総目録』等によれば、寛永十四年版とのこと。今回購入したのは、いつ頃の刷りだろう。紙や表紙などからは、ずっと後の刷りという感じ。
抄物大系にはいっているのも、寛永版? なぜ元和古活字版じゃない?

五律の李嘉祐「送樊兵曹謁潭州韋大夫」の註で、書状の書き方について説明してある。二八丁あたり。

*1:文化元年序の『唐詩選師伝広解』の第一冊(序・附言・卷一)。千葉芸閣『唐詩選講釈』の再刻。もと三段だったのを二段にしたもの。

*2:王維「晩春厳少尹與諸公見過」から曹松「題甘露寺」(「虚實」の最後)まで

*3:「四實」全首。