シャラップ、エセ写楽

写楽―江戸人としての実像 (中公新書)

写楽―江戸人としての実像 (中公新書)

読了。

これを契機に、

諸家人名江戸方角分 (1977年)

諸家人名江戸方角分 (1977年)

の廉価版が出たりしないかな。


また、中野三敏先生に現代文化論(あるいは現代サブカルチャー論)を書かせたい、と思う人が出てくるような気もする*1

現代人が、「伝統文化」と言えば、得てして社会の片隅で、老人や一握りの趣味人のみが享受するものと捉え、「新興文化」こそが若者を中心に「現代文化」そのものであると考えがちであるところに、まずは近世と近代の文化様式や文化理解の最大の違いが露呈しているのである。(p15)


第1章は、中野先生の読者にはおなじみの江戸文化の雅俗論だけれど、やはり面白い。


そういえば、「蔓延するニセ考証」論として読んでも面白いものだ。「一見学術的厳密論」(p130)など。


大日本人名辞書』の記述は、こちら

 トウシウサイ シャラク 東洲齋寫樂 浮世繪師、錦繪の黄金時代ともいふべき寛政時代に出た人で俗稱を齋藤十郎兵衛と呼び阿波藩邸のお抱への能役者であつた。製作は大抵役者繪でその以外の題材にまで及ばなかつたが當時の版畫家中最も注目すべき一人である。……


芳賀矢一の『日本人名辞典』には

シヤラク 寫樂 浮世繪師。通稱齋藤十郎兵衛(一に八郎兵衛)。阿波侯の能役者。東洲齋と號す。


そういえば、神オタさんのところでよく出てくる、三村竹清日記にも言及してあった。今度、演博紀要をコピーしよう。


クルトの訳本

写楽

写楽


鳥居龍蔵全集、高いなぁ。

*1:品格論を書かせようと思う人も、ひょっとしたらいるかもしれないが。