二条
京都へ出る用事が出来たので、久しぶりに尚学堂へ行こうと思った。さらに、行ったことのなかった水明洞へ行くことに思い至り、昨夜、場所を確認した。
阪急をおり、四条河原町から北上し、二階にあがってしまった赤尾照文堂を初めて見る。大学堂はしまっていた。キクオ、京阪と見て、いつもならブックオフへ足を伸ばしてしまうところだが、水明洞を目指す。
噂の店頭箱の和本を探る。元治刊記のある厚手の節用集があった。古文眞寶余師の端本が二冊。論語後藤點で平仮名のものが「上」だけだがあったので、この五冊を選び店内へ。いわゆる新店舖の方らしい。
小さな本で、
という二冊の値段を問うとともに300円ということだったので、これもいただく。
続いて、もう一軒の方の水明洞前の箱をながめる。謡本は同じ章句の表記変化が追えたりするのかな、と思ったことがあったのを思いだし、「元禄云々」の中本を一冊だけ。あとは有朋堂文庫を一冊と、『家庭/日常禮法』大正六年を。言葉関係の記載は殆んどないようだが、百円だし小さいし。
店内では
小川琢治『市町村大字読方名彙』大正十二年 500円
を。朝鮮・台湾・関東洲の地名にも、多くは日本漢字音で読みが附してあるが*1、これは字音の代表音とみてよいのか、地名ならではの(あるいは外地地名ならではの)選音もあるのか。
中井書店へ。
文庫が200円で「絶版文庫も」と書いてある。三冊選ぶ。
水明洞から自転車で立ち去る人があり、あるいは、びわこのなまずさんではあるまいか、などと思ったりする。
昼食を取らないままに来てしまったので空腹を感じるが、店を見つけられないまま、尚学堂に来てしまう。眺めているうちに空腹が増し、また、今食べねば夜の宴に差し障ると思い、一冊選んで置いた本を残して、昼食を食べる場所を探しに行く。河原町御池の地下には初めてはいる。食べるべきものが見当たらず途方に暮れるがコンビニがあったので、そこに入る。おにぎりを二つほどと思ったのだが、三つ入って230円のものに目がくらみ、これとペットボトルのお茶を買って、市役所前のベンチで食べる。全部食べた後に、三時に食うには三つは多すぎたと後悔する。
さて尚学堂に戻る。ついでに十八史略の注釋本なども眺めてみるが、「臥薪嘗胆」について、出典等を注記しているものは見られず。
購入したのは200円を二冊。ともに明治期のもので、『兵要日本地誌字引』と、作文本の端本。なんとなく面白そうな熟語が多いような気がしたので。
三月書房に行き、いろいろと眺めるが*2、手許不如意につき買えず。書道本の店と藝林荘は素通り。
河原町丸太町の今村書店は、本当に久しぶり。坪内逍遙の新曲浦島などの入った岩波文庫100円と「すぎもとつとむ」の方言本200円。狩野文京堂は店舖があったが営業しているのだろうか。95年頃にもう一軒あった店は見当たらない。
川端丸太町のバス停に着き、目的のバスがもう出てしまっていることに気付く。時間の勘違いである。一本あとのバスで行くことをメールして次のバスを待つ。どうせ一緒に行かないのなら、三条のブックオフに行けばよかっただろうか、などと思ったりもするが、目的地はバス停から十五分ほど歩いたところにあるのだった、ということを思いだし、これ以上、荷物が増えては大変なことだった、と思う。
「女一人」のメロディーとともに*3バスは大原に着く。京都から湖西へ抜ける道として、通過したことは何度もあるが、降り立つのは多分はじめて。目的地を探すと、「寂光院畔」にあるとのこと。「じゃっこういん-はん」と読めばいいのだろうか、アゼ? クロ? いやクロは東日本風だ、などと思いながら歩く。
研究関係の知人たちの集まりである。