静清

ニュースを見ていて、「静清バイパス」を「せいしんバイパス」と読んでいるのを聞いて、ちょっと意外の感を持った。


「清」をシンと呼ぶのは、唐宋音、厳密に言えば中世唐宋音だ*1。中国語のng韻尾をンで読む(イやウでなく)、という特徴を持つ。常用の字音で、このような特徴を持つのは、瓶のビンぐらいで*2、清のシンは中国の朝名に限られると思っていた。


清水を表す「清」字がシンで読まれる習慣があるのは知らなかった。ただ、この「シン」は、唐宋音であることのほかに、「シミズ」の下略「シミ」の転という意識もあるだろう。また、静岡を表す「セイ」と同音になることを避ける意味もあるのだろう。
「来清」「訪清」「帰清」を、ライシン・ホウシン・キシンということもあるのだろうか。

後の補

静清をセイセイと読む団体もあるらしい。
google:静清 セイセイ OR seisei


google:静清 セイシン OR seishin

またまた補

http://www.ytv.co.jp/announce/kotoba/back/1901-2000/1976.html
に関連記述を発見。
ことばの話1979「国道○号線」の静岡放送のコメント。
「「清」を「シン」と読むのは本来日本語にはないので、やめようという意図があったのだ。」

なお

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1215451912

・せいせいと読むことはまずありませんよ
 ずっと静岡にいますが聞いたこともありません


・静清合併とか静清工業高校は「せいせい」と読むので、今まで「せいせい」が普通かと思ってました。

この二人の違いは、年代差?

*1:近世唐宋音は、チンかツイン。

*2:風鈴のリン、杏子のアン、行燈のアン・ドンなど個別的なものはあるが、瓶のビンがヘイを駆逐したほどのことはない。