異伝

「でんでらりゅう」の歌に初めて触れたのは、Wikipediaにも書いてある「屋台のおっちゃん」の歌。


 次は、合唱曲か。三善晃無伴奏混声合唱曲「おてわんみそのうた」に入っている「でんでれずんば」であるが、この組曲は「東京のわらべうた」という副題が付いている*1、長崎ではなく。「ばってん」もあるのに。


その次に触れたのは「博多っ子純情*2。ここでは「でんでらるうなら」であった。


三善晃のと、「博多っ子純情」のは、現時点ではWikipediaには書かれてないようだ。


三善のは、東京のわらべ歌だということだが、いま、その方面は調べない*3


さて、「でんでる」は「出る」のくり返しだろう*4が、「博多っ子純情」に見える形なら、意味は取りやすいだろう。
「でらるうなら」は「でらるるなら」で、「でられるなら」という意味である。遊びに行けないことを伝えるような歌だと説明されていたと思うが、そういえば*5、話中ではトイレから出られん、という話だったようにも思う。何巻かすぐにはわからぬが、高校卒業の頃である。「でんでられん」という題名。


「でらりゅーば」は、どうか。これは「出られうば」であろう。つまり「でられようならば」。
「でられうば」であれば、「でらりょーば」ではないかと訝る向きもあろうが、オ段拗長音の合音の方*6は、九州ではウ段拗長音になることがよくあるのである。


「でんでらりゅーが」「でんでれずんば」は、このままでは意味が取りにくい。前者は「龍」に関連づけられたのであろうが、後者は「〜ずんば」と思われたか(「いでずんば」では意味が異なるが。「でられずんば」の意味の「でれずんば」ならラ抜き言葉だという話になるのかも知れないが)。
また、三善のは、「こんこられん」も「こんけられん」になっていたような気もする*7


わらべうたの類は、いろいろと異伝があって面白いのであるが、定番のようなものが出てしまうと、それ以外のものは、「正調」ではない、とされてしまう。

*1:作詞も「東京のわらべ唄」となっている。

*2:リアルタイムで読んではいないので。

*3:http://home.interlink.or.jp/~inaken/mokuji.html http://web.archive.org/web/20090123054748/http://home.interlink.or.jp/~inaken/mokuji.html には見える。

*4:「出、出る(でぇでる)」か、とも思ったが、「こんこられん」で「き、こられん」ではないから、音のくり返しか。

*5:http://twitter.com/#!/koda_TO/status/41904148551180288

*6:「やう」系(開音)でなく「よう」「えう」系。

*7:ケラ・コラレラ・コラレラというのもあったが、これはバックコーラス的か。