ガリ版本など

松本隆対談集』(ISBN:483561514X )が出たと知り、久しぶりに風街茶房を覗いてみる。書籍化されている分については消されているが*1、最新の対談相手が斉藤由貴で、数日前に触れた「卒業」についても話があった。「制服の胸のボタン」の風習の起源が気になる。

昨日、尚学堂で買った200円本は、昨日書いたものの他に、昭和初期のガリ版を綴じたもの2冊も含まれる。ガリ版のものは時々買う。字体に関する興味だとかでも買っていたし、既存の本をガリ版で作って複製しているようなものも面白く思って買ったことがある*2。それから、私が買わないと姿を消してしまうのではないか、とついつい保護してしまうものもある。自分の関心に直結するものだとよいのだが*3、そうでないものはどうしたものかと思う。
今回買ったものなどは、兵庫県の郷土資料となりそうなものなので、寄贈してもよいのだが、下手に寄贈して未整理のまま放置されて何時か棄てられてしまっては元も子もない。

せっかくだから、書きとめておこう。

1冊は、
『昭和拾年 郷土調査 地理之部』城北 尋常・高等 小学校 B5 32丁
城北村は丹波篠山の近くの村だが、目を引いたのは、「本村副業の最も主なるものは冬期の酒造出稼であらう」(22丁表)として、以下30丁目まで、約150名の出稼ぎ先を一人一人列挙している部分である。兵庫県内の酒造場が多いが、「杜氏」「麹氏」「瓶場」「室の子」などと職種も書いてあり、貴重な資料であろう。
団体名義の著作物で刊行後50年を越えているので、著作権法上はうわづら化してもよいのだが、気になるのは個人情報保護法。まだ存命の人も居るであろうから。

もう1冊は、
『非常時読本』第1輯 昭和十二年十一月 公立青年学校 多紀実業高等公民学校 B5 22頁(11丁だが、ページ付による)
中身は、内閣告諭・近衛首相演説・兵庫県告諭・「国民精神総動員に当って我々は何をしなければならないか」・「恩賜の煙草」。「恩賜の煙草」というのは、「西脇軍曹の戦死」の話のようだ。
この『非常時読本』は、ガリ版オリジナルではなく、兵庫県で出したものを多紀でガリ版にしたものかもしれないとも思うが、西脇軍曹は多紀郡の出身と書いてあり、オリジナルかも知れないとも思う。

*1:2000年頃には「松本隆詩集」もあったが、消されてしまった。

*2:随分以前の『古書通信』で岩波の『文学』のガリ版版の話が書いてあったが、そんな感じのもの

*3:京都の古書市で100円で買った大田栄太郎『郷語書誌稿』など。国書刊行会から出たの( http://webcatplus.nii.ac.jp/tosho.cgi?mode=tosho&NCID=BN00626980 )と違っていた。http://webcatplus.nii.ac.jp/tosho.cgi?mode=tosho&NCID=BA30202347 の一部かもしれない