万葉調の続き
ここで書いた、万葉調の他の例。
よきひとの 良跡《かたあと》よみて めどあやし 芳野《はなの》よあけよ 良人《はるひと》よきみ
二七 天武天皇
このうたが、なぜこのような形になるのか、よくわからない。普通は、
よきひとの よしとよくみて よしといひし よしのよくみよ よきひとよくみ
という感じだ。「よきひとよきみ」「よきひとよくみつ」などと読まれる場合もあるが、この「はるひとよきみ」はなんだろう。「かたあと」「めどあやし」「はなのよあけよ」も変わっている。原文はこう。
淑人乃 良跡吉見而 好常言師 芳野吉見与 良人四来三
「吉見与」を「よあけよ」と読ませるようだ。
一応、『名歌辞典』も引いてみたが、この読みに近いような類歌は見あたらない。
(『校本万葉集』にもあたっています。)