「過ぎたるは……」誤用?

「過ぎたるは(なお)及ばざるがごとし」は、「過剰は不足に似ている」というようなことですが、これを「過ぎてしまったものは届かない・どうしようもない」というような意味と思ってしまうことがよくあるようです。
たしか十年ほど前にも政治家がそういう使い方をして評判になったことがありました。


昨日買った本『明治天皇御集・昭憲皇太后御集』角川文庫を眺めていたら、こんなのがありました。

すぎたるは及ばざりけりかりそめの言葉もあだにちらさざらなむ
昭憲皇太后の「明治十二年以前」という歌で、「沈黙」という題が付いています。「綸言 汗の如し」というような感じで(皇后ですが)、出てしまった言葉は及ばない、という意味で言っているようです。
「言い過ぎは、言い足りないに似る」という意味では、ちょっと苦しい気がします。



誤用と思われるものでも、その用例をしっかりと集めたいものだ、と以前から思っております。