古語動詞の活用表

http://blog.goo.ne.jp/satopyyy/e/c989c719fb2329fa520562e418f7528d
こちらを拝読して思い出したこと。


私は、(形式主義者なので?、)活用整理は語形のみで行いたい、と共通教育授業で表明しております。学校文法で習う、江戸時代に行われた古語動詞の整理は、その方針で巧くやっているけれど、妥協した部分もある、と*1。妥協しないで整理したらこんな感じか、というために示す表(あくまでも試案)。


【活用整理】(通常順)

ず・む・で・ば・(ら)る・(さ)す・まし・なむ・まほし な〜そ
過去し
て・たり・つ・ぬ・き・けり・けむ 終止 べし・めり・伝聞なり らむ・まじ・らし 連体・断定なり・ぞなむやか受け ば・ど・こそ受け 命令
しら しり しる しれ
上一 みる みれ みよ
下二 うけ うく うくる うくれ うけよ
カ変 くる くれ こよ
サ変 する すれ せよ*2
ナ変 しな しに しぬ しぬる しぬれ しね
ラ変 あら あり ある あれ


【活用整理】(サ変ぶち抜き型*3

ば・ど・こそ受け 命令 ず・む・で・ば・(ら)る・(さ)す・まし・なむ・まほし な〜そ
過去し
て・たり・つ・ぬ・き・けり・けむ 終止 べし・めり・伝聞なり らむ・まじ・らし 連体・断定なり・ぞなむやか受け
しれ しら しり しる
上一 みれ みよ みる
下二 うくれ うけよ うけ うく うくる
カ変 くれ こよ くる
サ変 すれ する
ナ変 しぬれ しね しな しに しぬ しぬる
ラ変 あれ あら あり ある

現代語はこんな感じ

学校文法における現代語動詞の整理は、非科学的*4である、と表明します。古典文法の整理の結果のみを受け継ぎ、整理の精神は受け継いでいない、と。
古典文法における動詞活用整理の精神を受け継いで現代語動詞を整理すれば次のようになるだろう、と。

【現代語動詞活用整理】

(ら)れる
・(さ)せる
ない て・た たい・ます・ながら 終止・連体・だろう・でしょう・べきだ 命令 意志
しら しっ しり しる しれ しろう
上一 みる みれ みろ みよう
下一 うけ うける うけれ うけろ うけよう
カ変 くる くれ こい こよう
サ変 する すれ しろ しよう

以下のようにするのも一案だが、好きではない。


【現代語動詞活用整理(別案①)】

せる れる ない て・た たい・ます・ながら 終止・連体・だろう・でしょう・べきだ 命令 意志
しら しっ しり しる しれ しろう
上一 みさ みら みる みれ みろ みよう
下一 うけさ うけら うけ うける うけれ うけろ うけよう
カ変 こさ こら くる くれ こい こよう
サ変 する すれ しろ しよう

【現代語動詞活用整理(別案②)】

させる・られる せる・れる ない て・た たい・ます・ながら 終止・連体・だろう・でしょう・べきだ 命令 意志
しら しっ しり しる しれ しろう
上一 みる みれ みろ みよう
下一 うけ うけ うける うけれ うけろ うけよう
カ変 くる くれ こい こよう
サ変 する すれ しろ しよう


しられる・みられる、しらせる・みさせるなどを説明するため、子音語幹・母音語幹など、ローマ字による文法説明を行う。

本当は

次のような表にしたいのだが、用例が無いところにちゃんと「*」を埋めたい*5

【活用整理】(通常順)
四  上一 下二 カ変 サ変 ナ変 ラ変
しら うけ *6 しな あら
まほし
(ら)る
(さ)す
しむ
まし
なむ
ばや
な〜そ しり しに あり
過去し
たり
けり
けむ
終止 しる みる うく しぬ
べし あ(る)*7
めり
伝聞なり
らむ ある
まじ
らし
連体 うくる くる する しぬる
断定なり
ぞなむやか受け
しれ みれ うくれ くれ すれ しぬれ あれ
こそ受け
命令 みよ うけよ こよ せよ*8 しね


縦と横を入れ替えた方が見やすそうだと思って入れ替えましたけど、ツールなどではなく、手書きで入れ替えたので面倒でしたし間違っているかも知れません。表示が亂れています。

*1:「ラ変動詞は連体形接続。他は終止形接続」といった説明など。

*2:「せ」として右と繋げてもよい

*3:両端の「靡き型」を近づけたい気もするが。

*4:ここにいう「科学」は、まさに「科」の学、分類の学。

*5:偶然の欠落かもしれないし、難しい。

*6:用例未詳のものあり。

*7:「あンべし」「あるべし」

*8:「せ」として下と繋げてもよい