沖縄言葉の語源

那霸の街を歩いていて「なかゆくい」という文字列を見かけたときに、中休みの意味だろうと思ったが、それは九州の「よこう」という動詞*1を知っていたからだ。


「ゆくい」は、「いこい」に対応する「いくい」から転じたとみるよりは、「よこい」に対応する語形と見なす方がよいだろう。


「よこう」という語形は現在の九州に残っているが、対応する語形がすぐには分からない場合もあるだろう。


とは言え、沖縄の言葉の語源を考える場合には、いきなり萬葉集とかではなく、九州の方言を見ておくことが必要だ。これは、わたしのオリジナルの考えではないが、記しておく。


更に言えば、これは沖縄の言葉に限らず、ある地方の方言の語源を考える際、郷土史的な立場で、すぐに万葉集などと比較することがあるが、その前に、近隣の方言や、近隣でなくとも現代の方言を見るべきだ。文献も、万葉集など古い時代のものだけ見てはだめで、いろいろな時代のものを見ないといけない。

*1:「いこう(憩う)」にあたる。