〈楷書平仮名交じり〉

ここからの流れ。

京伝の忠臣水滸伝(寛政11年)なんか、例としていい感じ。九州大学附属図書館讀本コレクションデータベースは、全点画像がもう少し多くないと使いでがない、と思っていたが、こんな風に探して行くには悪くない。

「和漢混淆表記」というよりも、「雅俗混淆表記」という方が、よいのかも知れないとも思うが、「雅」と「俗」を混淆させた、というように単純にはいえないようでもある。
 「雅」では、全部漢字の漢文(楷書が基本)と、殆んど平仮名の和文が典型。
 「俗」では、漢字平仮名混じりもあるが、漢字は行書。
その「俗」な漢字平仮名まじり文を、「雅」に近づけようとしたのが、「楷書平仮名交じり」であるように見え、そういう意味での「雅俗混淆表記」ではあるまいか、と。

一方、国学の方の〈楷書平仮名交じり〉は、和漢識別*1のためのものかも知れない。トツクニの文字である漢字を平仮名の中に埋没させまい、という。

推測ばかりで書いていて、自分の研究対象とするかは未定。

以前からある「漢字片仮名交り文」の位置付けも確認せねばなるまい。

*1:今風の用語で言えば「差別化」か。いや、違うな。