人名と漢字

ようやく、

人名用漢字の戦後史 (岩波新書 新赤版 (957))

人名用漢字の戦後史 (岩波新書 新赤版 (957))

を手許に置くことが出来た。
本棚から、
戸籍実務六法 (昭和64年)

戸籍実務六法 (昭和64年)

を引っぱり出す。もう17年前のだから、新しいのを見なくちゃいけないが。

http://d.hatena.ne.jp/kuzan/20051001/1128146712

ここで書いたことに関わる帰化した場合のこと。

「戸籍法及び戸籍法施行規則の一部改正に伴う戸籍事務の取扱いについて」の、第三の1の(3)のイ、

国籍所得者が国籍取得前に本国においてその氏名を漢字で表記する者であった場合において、相当の年齢に達しており、卒業証書、免許証、保険証書等により日本の社会に広く通用していることができる名を用いるときは、正しい日本文字としての漢字を用いるときに限り、制限外の文字を用いて差し支えない。
とあるから、中国などから帰化した場合には、本名で人名用漢字以外が使われることもある、という訳なのである。

「正しい日本文字としての漢字を用いるときに限り」というのは、簡体字などがいけない、という意味なのかな。



それはさておき、

お引越し (講談社文庫)

お引越し (講談社文庫)

の主人公レンコは漢字では「漣子」と書く。この「漣」字は、2004年の追加字であり、1990年の小学六年生の名前としては、あり得なそうに思える。帰化人でもなさそうだし。

まあ、小説だからいいではないか、とも思うが、両親の離婚にまつわる話であり、戸籍の話(母親と主人公の姓のこと)も出てくるのだから*1、人名漢字以外の文字を使った名前はあまり頂けないと感じたのだった。


ISBN:4004309573一本足の蛸2005/7/25で、ミステリーにおける非人名漢字について言及されているのに気付いた。