最大の失敗

電子化ぐらしにおいて、最も後悔するのは何かというと、ADFの中に紙が巻き込まれてしまい破れてしまうことではない。復原不可能なほどに破れてしまって再スキャン出来ない場合は困るが、それでもたかだか2ページのことである。

最も困るのは、本の背表紙を切り落とす際に*1、ノドの印刷状態を甘く見すぎて、文字が書いてある部分まで切り取ってしまうことである。現行の本であれば、おおむね印刷は安定していて、だいたい印刷はページの中央に収まっているが、古い本などは、ページによってぐっとノド寄りに印刷が来ている場合がある。単発的であればよいのだが、途中のページから、ずっとそれが続いていることもあり、その場合は目も当てられないことになる。裁断機の刃が上がり、裁断面に黒い印刷の模様が見えた時には、愕然とする。切り離されたページをもう一度貼り直すような手間は恐ろしすぎる。

実は、印刷面が安定していると書いた現行の本でも、これをやってしまったことがある。厚いハードカバーの本である。ハードカバーの本は、表紙を取り外しても、無線綴じの本のようにぺったりとはならない。背表紙の部分が丸みを帯びている。この丸みに気をつけねばならないのだ。裁断機は、切る前に上から万力のようなもので本を押さえつけるが、その際に丸みがさらに増す。それに気づかずに裁断してしまうと、裁断面が黒々、ということになってしまうのだ。

これを避けるためには、厚い本は一度に裁断せず、数度に分けて行うこと。それから、もともとハードカバーのあった部分に、厚紙をあてるなどして、背の丸みが増すのを抑えること、である。時間がかかるが、これをしないと裁断がムダになってしまうのだ。嘗てそういう失敗をしてしまった時、スキャン後、未練たらしく、その背表紙部分だけを保存していたが、そんなに珍しい本でもないので、結局捨ててしまった。

*1:ハードカバーの場合は、表紙を外してから裁断機にかける