語源俗解
出久根達郎『四十きょろきょろ』文春文庫asin:4122035732、「デンキンバシラの音」というのがある。「最近転校してきた子」であるKが、電柱のことを
そういえばKはデンキンバシラ、と言っていた。電気柱、のなまりだったろうか。
この、デンキンバシラは、私がよく「語源俗解」の例としてあげるものだ。『福井県方言集』*に載っている*。
『福井県方言集』では、
「デンキンバシラ」は「電気の柱」の訛、或は「電信」と「電気」を一緒にしたものに「柱」をつけたかとしているが、「電信柱」を「電気の柱」であると理解して語形が変化したものであろう。
出久根氏の友人kは、福井県から転校して来た人であろうか、とも思うが、このような語源俗解はどこででも起こりうる。